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記憶をなぞるようにしながら、俺は画面に釘付けになっていった。
当時はまだ子供だったから内容はよく理解できてなかったけど、高校生となった今では映画に込められた思いが理解できた。
エンドロールが流れ出すと、俺はこっそり袖口で涙を拭った。
狭いソファの上、暗がりの中で舞う紙吹雪がキラキラと光を反射する。
「……ごめん」
「いや、別に。良い映画だよな」
答案用紙差し出す時みたいな何てことないって仕草で、渡辺は俺にティッシュの箱を手渡してきた。
エンドロールの余韻に満たされているせいか、互いに無言でいてもまったく嫌な感じがしない。
本当に不意に、胸の奥がふとほつれたみたいに話してみたくなった。
「あのさ……」
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