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「むしろそっちは辛くなんないの、俺のコレ見て」
俯きながらそう続けると、少し間が空いてから渡辺が言う。
「辛くない。それどころか、ちょっと慰められた気になる」
「なぐさめ?」
「うん、なんか、うまく言えないけど」
はらはらとまた紙吹雪が舞い始める。
俺は慌ててそれを掌で受け止めようとした。
「ごめん、不謹慎だよな」
早口にそう告げて舞い散るそれをかき集めていると、そっと目の前に大きな手が差し出された。
掌の上に、紙吹雪が鈍く煌めきながら舞い落ちる。
「気にしなくていいから、本当に」
今までの慰めや社交辞令とは違うと、なぜかそう思えた。
「また来てもいい?」
ぽつりと呟くと、紙吹雪を握った手を降ろして渡辺が小さく笑った。
「いつでも」
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