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「駅の近くのTSUTAYAで借りてんの?」
「うん。あの店、品揃え良いから」
「今度俺も着いてっていい?」
渡辺は取り出したソフトをケースに仕舞い込みながら、小さく二回頷いた。
今まで周りに映画が好きだという人がいなかったから、こうして一緒に作品を観たり、感想を言い合えたりする相手が出来たのが純粋に嬉しかった。
共通の趣味を持つ友人が出来るのが、こんなに嬉しい事だとは。
「どうした?」
ケースを仕舞い込んだ袋をリュックに仕舞いながら渡辺がそう言う。
「何が?」
「紙吹雪、舞ってるから」
「いや、べつに、映画良かったなと思って」
俺の答えを聞いて、渡辺は嬉しそうに顔の前で舞う紙吹雪にふっと息を吹きかけた。
色とりどりの光の粒がふわりと高く舞い上がる。
あまりに楽しそうにそうするから、俺までつられて笑ってしまった。
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