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とびっきりのドヤ顔をした洋輔が首からぶら下げた一眼レフカメラを構えて見せる。
「どう、俺プロの貫禄出てきたと思わない?」
「入部してまだ一ヶ月でしょ」
「いやぁ、俺にしてみればもう一ヶ月だから」
誇らしげな顔の洋輔の脇を通り抜けようとした渡辺がこちらを見て「おう」と一言挨拶してくる。
つられて俺が右手を掲げてそれに返すと、気づいた洋輔がキョロキョロと俺と渡辺を交互に見やる。
「あれ、君たちいつの間にか仲良くなってる感じなの?」
「うん、まあ、そんなとこ」
席に座ったまま俺がそう言うと、途端に洋輔が目を輝かせる。
「俺も混ぜて、俺も混ぜて!」
「俺ら映画同好会に入ったんだけど、洋輔も写真部と掛け持ちで入る?」
俺が発した誘いの言葉に洋輔は数回瞬きをしてから、いかにも『美味しくない』とでも言いたげな苦い顔をした。
「えぇ……俺、映画ってすぐ寝ちゃうんだよね」
横で突っ立ったまま俺達のやり取りを見ていた渡辺がぽつりと呟く。
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