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「みなとぉ、コンビニ寄って帰ろうぜ」
「良いけど、写真部は?」
「今日は部活休みなの。一緒に帰るの超久し振りじゃね」
俺の肩に腕をまわして洋輔がいつもの調子ではしゃぎ出す。
そういえばこの前、課題を提出しに職員室に行ったとき、たまたま居合わせた写真部顧問の先生と洋輔の話題になった。
先生はどこか遠い目をしながら「センスも技術もないのに、瞬間を捉えるのが天才的に上手い。なんか持ってんだよな、あいつ」とぼやいていた。
異様なほど間がいいのはある意味で洋輔の特殊な能力なのかもしれない。
コンビニに立ち寄ってアイスを選ぶついでにアイスケースに顔を近づけて涼んでから、結局ホームランバーを二本買って店を出た。
「溶ける溶ける」と互いに焦りながら食べていると、不意に洋輔が声を張り上げた。
「あっ、凛ー!」
肩まで伸びた長い髪を揺らして橋元さんが振り返る。
「大声で呼ぶのやめてよね、恥ずかしいんだけど」
「照れんな照れんな」
「照れてない、迷惑なんだってば」
威嚇する犬みたいになってる橋元さんに対して全く物怖じせず洋輔が笑顔を向ける。
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