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指摘された通りだった。
自分の肩から上に、水色やピンクの色とりどりの紙吹雪らしき物が舞い上がっていた。
先生は足早に俺の元にやってくると、小声で「浦野、変種だったよな」と囁いた。
俺が戸惑いながら頷くと「とりあえず保健室に行ってこい」と急かされる。
保健室の先生は腕組みをしながら思いあぐねている様子だったが、ようやく口を開いた。
「これはあれよ、浦野君。大人への第一歩ってやつなの」
言葉をだいぶ濁した感じだったが、俗に言う"思春期"というやつだった。
子供から大人へと身体が成長するにつれて、変種の人間は能力に変化が現れる場合があるらしい。
以前よりも悪化する事もあるらしいのだが、俺の場合はその逆で。
あくびを堪えるみたいな感覚で身体が冷気の暴発を抑える反動で、こうして『体の周りに雪の結晶が舞い上がる』というなんともメルヘンチックな症状が現れるようになったのだ。
これで俺の見た目が可愛らしい女子生徒だったら、さぞ得な視覚効果になっただろう。
あいにく俺は女の子ではないし、キラキラが似合うようなアイドル級のイケメンでもない。
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