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中学三年になると、『変種は感染しない』という研究結果に基づいて学会が発表した論文によって状況は変わった。
自分が変種であることを示すマークの付いたキーホルダーが対象者の元へ国から配布され、テレビでは『変種の人達が安心して暮らせる社会に』というCMが頻繁に流れるようになった。
流行りのデザインの通学用リュックに変種マークのキーホルダーをぶら下げて俺は重い足取りで登校した。
誰もが腫れ物に触るような扱いをしてくる。
「困っていることはないか」「出来る事があれば何でも言ってくれ」と、今まで一度も話した事のなかった相手にまで声を掛けられた。
気にかけて貰えるのはありがたかったが、一度ミュートにしてしまった感情はなかなか元通りにはできず、俺は曖昧な笑みを浮かべて頭を下げる事しか出来なかった。
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