5 心の傷

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 浩介、ごめんなさい。  謝っても、許して欲しいなんて言えないけど、ごめんなさい。  一度だけ、またどうしてもあなたと暮らしたくて、姉さんに話をしに行ったのだけど、追い返されてしまった。  それでも諦めきれずに、時々様子を見に行っていたの。  けれど、見に行っているうちに思ったの。  もうあなたは坂崎浩介として、落ち着いて来たところで、今私が出ていけば、また私のわがままであなたを傷つけてしまうかもしれない…それが怖かった。  そして、その後見に行くことはあったけれど…あなたの前に立つ勇気が私には無かった。  そして、病気だとわかった時、最後にもう一度だけ、会いに行きたかったけれど…やっぱり最後まで、あなたに会いに行く勇気を持てなかった。  本当に、ごめんなさい…。  あなたの幸せを、心から祈っています。
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