4 緑花症候群

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4 緑花症候群

 その一週間後の土曜日、浩介は再び車でエタニティへと向かっていた。  例の不思議な木と一緒に。    あの日、浩介が寝てしまったため、新は自分の部屋へ行き、コンクールで入賞した自分の作文と表彰状を取り出した。  夏休みには、おばあちゃんとおじいちゃんに見せてあげるんだ!!  そう思った矢先、風が吹いて作文が開いた窓から飛ばされてしまい、木に引っ掛かってしまったのだ。  それを取ろうと、イスを窓辺に引き寄せて登り、取ろうとしたのだという。  もしも、あの時、この木が教えてくれなかったら、どうなっていたのか…。  あと一歩、見つけるのが遅くなっていたら、新は…。  それと同時に、本当にこの木は何だろう…という疑問が湧いた。  助けてくれた事には感謝をしているが、ただの植物ではない事は確かだ。  その答えを知っているのは、一人しかいない。  浩介はもらった名刺に電話した。そして、帰ってきた答えが  「わかりました。全てをお話ししますので、エタニティへ来てください」  だったのだ。  浩介は、心なしか緊張をしているように感じる、例の木と共にエタニティへと車を走らせた。
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