暴かれる企て

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「お前さんたちにとって……嫌な人間にはなりたくなかった。負担を強いたくなかった。だから俺は――」  そこまで聞いて、冰の方が驚かされてしまったようだ。 「こ、皇帝様……! そんな……とんでもありません! 僕もじいちゃんも……皇帝様のご厚情がどれだけ有り難かったことか……。ですが、僕らこそ皇帝様のお邪魔になってはいけないと……」 「――では、俺のところに居るのが嫌ではなかったのだな……?」 「嫌だなんて……滅相もありません。僕は……本当に有り難くて嬉しくて……」  でも皇帝様の足枷にはなりたくなかった――言葉にせずとも冰の全身がそう云っているようで、(イェン)は申し訳なかったという思いを通り越してワクワクと心が逸り出すのを抑えられずにいた。 「戻って――来てはくれまいか」 「え……?」 「嫌でないのなら、戻って来て欲しい。むろん強要するつもりは毛頭ない。だがもし――! もしもお前さんたちが嫌でないなら――戻って来て共に暮らして欲しい」 「皇帝様……」  こんなことなら偽の婚約を思いついたあの時に、すぐにも籍を入れて形にしてしまえば良かったと後悔しているくらいだ。そんなことまで言う(イェン)に、冰の双眸はみるみると涙でいっぱいになっていった。  ――と、そこへタイミング良くダイニングに置かれていた電話機が鳴った。紫月(ズィユエ)からであった。
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