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「やはり――そう上手くは問屋が卸さんか」
焔が少々ガックリと肩を落としながら溜め息をついていると、冰は慌てたようにハッと瞳を見開いてはブンブンと勢いよく首を横に振った。何回も何回もちぎれんばかりに振った。
「ボウズ? ――どうした?」
「あの、皇帝様……。お、お慕い申し上げても……よろしいのですか? でしたら僕、あの……。でも……」
みるみると頬を朱に染め上げながら、恥ずかしさの為か冰はうつむいてしまった。視線は挙動不審というくらいに泳ぎ、まるで穴があったら入りたい、隠れたいというように身を縮めている。そんな様からは決してこの少年に嫌われているというわけではないのだろうと察せられ、焔は思わず瞳を細めてしまった。
「俺が嫌ではないのだな?」
「嫌だなんて……! 滅相もございません! こ、皇帝様はその、男の僕から見てもすごく格好良いです。とても……素敵で憧れます」
「――そうか。では少なからず好意的に思ってもらえるということだな?」
「……はい、もちろんです!」
ますます熟れた林檎のように紅潮させた頬の色からして、お世辞でそう言っているのではないことが窺える。
「だったらこの俺に嫁いで来い。互いに恋をして共に暮らせば良いのだ」
「はあ……あの、ですが……」
「俺の人生を狂わせるだの巻き込むだのといった考えは無用だ」
「……え、はあ……」
冰は有り難いとも嬉しいともつかない困惑した表情でうつむいていたが、ふと思い切ったように顔を上げると、しっかりと視線を合わせながらこう訊いてきた。
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