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「あの男も都合よく金を生み出す駒のひとつに過ぎん存在だったのだろうな。だが、まあ……組織にとってはその資金源を失うことになるわけですからな。あの羅辰を追い出したことでこの遊郭街は救われたとしても、ゆくゆく周一族に対して報復に出てくる可能性も考えられる。そこのところは申し訳ない思いでいっぱいです」
飛燕はそう言って頭を下げた。だが、隼や焔は心配ないと言って飛燕に頭を上げてくれるよう宥めた。
「それについては問題ない。確かに報復の可能性が無いとは言い切れないが、デスアライブは国や地域の単位で面子を気に掛ける組織ではないのでな。今すぐにどうこうということはないだろう。いずれ何かの形で報復が成されることがあったとしても、あとは私たちの問題だ。あなたとご子息の紫月君にはどれほどこの遊郭街の者たちを救っていただいたことか。心から感謝している」
「頭領・周――もったいないお言葉、恐縮にございます」
飛燕も紫月も揃って頭を下げた。
「それはそうと飛燕。お前さんたちはこれからどうする」
ここでの拘束から解放された以上、やはり日本に帰るのかと僚一が訊いた。
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