新しい未来へ

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 僚一曰く、鐘崎組を二つに分けて、元からあった日本の拠点に加え、この香港を息子であり若頭でもある遼二に任せようと思っている――とのことだった。 「まあ、暖簾分けのような形になるが――(イェン)、よろしく頼む」  そう言った遼二に、(イェン)は嬉しさを抑え切れないといった表情で瞳を潤ませた。 「暖簾分けってよりかは襲名といったところだろうが」  遼二の手を取りながら冷やかし文句の中にも弾む心が滲み出ている。 「じゃあお前さんの事務所を構えねばならんな! 場所は俺の邸内でどうだ。お前さんがいてくれれば俺も非常に助かる! 土地は十分に余っているからな」 「有り難い。すまねえな、(イェン)。世話をかける」  男たちは厚い友情を更に深めるべく、今一度固く手を取り合ったのだった。  そしてもうひとつ嬉しい報告が――。なんと春日野夫妻も遊郭街の病院へ戻ってくることを希望してくれたというのだ。息子の(ジン)が生まれ育った地であり、これからも(デェン)医師らと連携してこの九龍城砦で尽力したいと言ってくれる彼らの厚情に、(イェン)はじめ周一族は両手放しで喜んだのだった。 ◇    ◇    ◇
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