584人が本棚に入れています
本棚に追加
「……惜しくなったとは言い草だな。俺ァ、何も邪な気持ちでそうしてるわけじゃ……」
「そう照れるなって」
「照……ッ! 誰が照れてるだ、誰がー! 貴様こそあの紫月と離れたくなくてこの香港に戻って来たんだろうがー」
「はぁ!? 俺ァ、そんな……」
二人、肩を突き合いながら頬を染め合う。と同時に、どちらからともなく吹き出してしまった。
「ま、まあ……こまけえことは言いっこなしだ」
「そうだな。これからやらにゃならんことも山積みだ。互いに助け合っていこうじゃねえか」
「そうこなくっちゃ!」
ハハハと声を上げて笑い合う。
この先もきっと様々な困難が待ち受けているだろう。幸せで楽しいことも待っているだろう。
行く先にどんなことがあったとしても、互いが、そして信じ合える仲間が共にあればそれはきっと明るい未来に違いない。
裏社会に生きる男二人、友情を確かめ合いつつ未来への期待に胸膨らませる。そんな晩夏の午後であった。
◇ ◇ ◇
最初のコメントを投稿しよう!