美しき少年との出会い

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「いえその、これはじいちゃん……」  じいちゃんに教わった――と言い掛けて慌てて言い直した。 「僕を育ててくれた父に教わりました」  つまり(ウォン)老人によって教えられたということらしい。特にこの城壁内に移って来てからは、目上の者に対しては極力そうするよう心掛けろと教わったそうだ。 「(ウォン)の爺さんか。さすがにご立派な教育をされる」  (イェン)の口から(ウォン)老人の名が出たことで、冰は驚いたように瞳を見開いた。これまでは緊張の為かこわばらせていた身体を乗り出すようにして(イェン)を見つめてきたのだ。 「あの……! じいちゃんをご存知なのですか?」 「ああ。実はな、その爺さんの為にお前さんを捜しにやって来たのだ」 「……では、じいちゃんが僕を捜すように皇帝様にお願いしたのですか?」 「いや、直接爺さんからそうして欲しいと言われたわけじゃあねえんだが。(ウォン)の爺さんには俺の親父――というか祖父の代から世話になっているのでな。その爺さんが――お前さんがいなくなっちまったとえらく心を痛めている。あのご老体にもかかわらず、日々お前さんを捜して方々を駆け回っているんだ。そこで俺がさっきの鐘崎遼二と共に捜索にやって来たというわけだ」 「そうだったのですか……。お手を煩わせてしまい申し訳ありません」  冰は丁寧に詫びながらも、老人がどうしているかと気になるのだろう。心許ない表情で肩を落とした。
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