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10年前。僕はその時、電車に乗って通学してたはずだ。隣には山本くんがいた。
「ねぇ、内場くん、今日の漢字テスト予習してきた?」
「え、今日そんなのあったっけ?まーったくやってないよ〜やばい」
山本くんは親切にも僕にまとめたノートを見せてくれた。
「それが出題範囲だから、今のうちに覚えられるだけ覚えたほうがいいよ」
ありがとうと言ってノートを受け取った時、隣の車両から1人生徒がうつってきた。
フワッと柑橘系の香りが辺りに漂ってきた。そうだこの人、伊坂くんだ。
この時の伊坂くんの印象が凄く強かった。電車のドアの前に立っていて、彼の横顔を朝日が照らしていた。そのたたずまいは、まるで芸能人のようにかっこよかった。
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