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僕はあの猫に関心をなくした。
視界の隅に入っても、気にせず通り過ぎた。
不思議と、気にしなければ、あの鳴き声も聴こえない。
いつからだろう?
夜に、あの猫を見かけなくなった。
そういえば、ここしばらくはあの毛づくろい姿しか見なかった気がする。
良く見てなかったから気付かなかったけれど。
流石に気になって、昼間、あの鳩の群れに行ってみたが、そこにもかれの姿はなかった。
まあ良い。
野良猫なんて、いや、すべての野生動物は自由に生きるかわりにいつでも死ぬリスクを抱えてるんだから。
ある意味で僕らより幸せかもしれない。
そんな風に、僕はあの猫を忘れていった。
ある日、いつも通りに人懐こく
ぷるるる
そしたら石ころ投げられた。
頭に命中、くらくらして出たあの小径、車に轢かれた。
幸い命はあったが、足をやられ、骨が砕け、血が出た。
命からがら鳩の場所へ。
動けなくなった。
そのうちに、傷口に蛆がわくと、鳩たちはそれをつついた。
そのうちにカラスが来た。
鳩は一斉に飛び去り、ただひとり残され、目玉を突かれたあと、はらわたから食われた。
断末魔のその時、
ぷるるる…
カラスは食うのをやめて、飛び去った。
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