教えてくれる? 弐

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「起きて。ほら着いたよ」  彼氏が私を揺り動かす。私はうとうとしながら目を覚ました。よっぽど疲れていたんだろう。そりゃそうだ。人生で二度と経験したくないことしたんだから。しかしなんだか寒気が増してる。 「なんか少し疲れてる。今日は泊まらせて」  私の家はさらに遠いため、彼氏の部屋に泊まらせてもらうことにした。少しよろめきながら彼氏に心配されて駅から歩いて帰る。本当はタクシーでなんて思ったがそこまでの距離でもない。早く休みたいと思いながら彼氏のマンション前まで辿りつく。 「──!?」  なんだ? この違和感。少しおかしい。確かに呪いの小道具……じゃないがひしひし感じるものは彼氏の部屋にあったがそれは徐霊(かいしょう)したはず。だけどおかしい。寒気が増す。近づけば近づくほど。あんなに疲れていた身体が危険のサイレンを鳴らしている。  ──なぜなぜなぜ!?── 「ねぇ、私やっぱり今日は帰る」  危険を知らせる体内サイレンが鳴りっぱなし。しかしまたまた超鈍感彼氏がそれを引き留める。 「疲れてるんだから休んでいきなよ。もし具合が悪くなったら大変だろ?」  彼氏の優しさにドキュンとされるんだが今は違う。これは鈍感サイレンだ。あんたの部屋がまずいんだよ!! 「いや、やっぱり帰……あれ!?」  ──なになになに!?──  足が勝手に動き出す。私の意思が通用しない。 「おかしいおかしいおかしい」 「どうしたんだよ? すぐベッドに直行して休んでいいから」  なんだこいつ? やけに食い下がる……身体目当てか? 今日そんなことしたらぶん殴るっ!!!  彼氏が鍵を開け、扉を開けた瞬間、本日二度目のおぞましい空気に包まれた。  ──なんでいんのよ!? ここにっっ!? ──
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