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「それに……やっぱり母親に冷たいのはよくないと思うのよ。もう少し優しくなるように彼に言ってくれない? 母の日はちゃんとするのよって」
「はいっ、言います言います言いますっっっ」
──あんたがいるこの部屋がすでに冷たいのよっっ!! 私が震えてんのが分かんないのっっ!? この女のお母さん、この女を叱ってください! 人を怖がらせてどうすんの? って──
「やっぱりそうなのね。呪縛が解けて天に行こうと思ったんだけど自由になったもんだから、ちょっと街を散策したら全部続きがあることが分かっちゃったのよね? そうしたら未練が……また沸いちゃって」
「な、何言ってるんですか? この世界より向こうの世界のほうがいいに決まってるじゃないですか?」
「なんだよ。向こうの世界って……」
「だから、お前は黙れ!!!」
──こっちは必死に説得中なんだよっっ!!! なんで召されるまで束縛しないのよ? 凶悪犯に手錠せず、刑務所に連行することありますかっっ!? ──
「でも、一番はやっぱりあなたたち二人のこれからが気になっちゃって……二人の行く末を見届けたいわ」
「へっ??」
また私はぺたんと尻餅をついた。
「隣の部屋空いてるみたいね。しばらくは私……そこにお世話になるわ」
そう言うと女は隣の部屋に消えて行った。
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