27 ルナリアの弱み ※セレステ

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 ルナリアがどうするか見物だわ。  王宮前には、いつもより出迎えの人間が多く、侍女たちが浮わついている。 「オルテンシア王。突然、訪れてしまい申し訳ない」  あの方がマーレア諸島のルオン様。  褐色の肌に黒い髪、宝石がたっぷりついた豪奢なアクセサリーと美しい刺繍。  エキゾチックな魅力が溢れる男性だった。  ――侍女たちが騒ぐのも当たり前だわ。  オルテンシア王国にはない不思議な空気が漂い、人々の目を惹く。 「お父様。こちらがアギラカリサの巫女、スサナ様です」  日に焼けてない白い肌、華奢な女性。  海のように青い髪と瞳が印象的で、二人が並ぶととてもお似合いだった。 「オルテンシア王国を巻き込んでしまい、申し訳ありません」 「む……。いや、まずはルナリアの考えを聞こうと思っている」  ルオン様、スサナ様に謝罪されたお父様は強気にでれず、シモンが言った言葉を繰り返す。  お父様は完全にシモンの傀儡。  まるで、人形劇の人形のよう……なんて情けないの。 「お父様。アギラカリサからの追手は、レジェス様です。まもなくレジェス様が到着するでしょう。私からレジェス様に説明します」
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