11 騙された国王

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「この子ったら、フリアン様が不在だと運動もしないで、ずっと図書館にいるんですよ。暗くて地味だし、なんの取り柄もなくて困っていますの」  お母様は私を絶対に褒めない。   セレステが一番可愛くて優秀な娘だと思っているからだ。 「では、ルナリア。俺と一緒に来い」  レジェスの紫色の目が私を覗き込み、捕らえて離さない。  けれど、その目は『ついてこい』と言っている。 「はい。ご一緒します」  もちろん、私はレジェスについていく。  オルテンシア王宮で学べることは、もうほとんどないからだ。 「お待ちを! ルナリアをどこへ連れていくおつもりか!?」  堂々とした態度の誘拐犯に、お父様が慌てた。  ――そうよね。私は十二歳だし、いくら関心のない娘だからって、あっさり渡さないわよね。 「アギラカリサ王宮だ」 「お、王宮ですと!?」  レジェスの領地ではなく、王宮と聞いてお父様は顔色を変えた。  王子たちでさえ、国王の許可がない限り、気軽に王宮に入れないと聞く。  社交界にデビューすらしていない半人前の私が、アギラカリサ王宮に招待されるなんて、あり得ない話だった。
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