11 騙された国王

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 お父様は私とレジェスを交互に見て、首をかしげてる。  お母様はセレステが選ばれなかったから悔しがっているだけで、セレステも同じ。  遊びに行くんじゃないのに……    ――でも、私しかアギラカリサ王国に、行く人がいないと判断したレジェスは正しいわ。 「私がアギラカリサ王国へ行く理由は、お父様が最近、頭を悩ませているスパイスと紅茶のためです」 「うむ? なかなか手に入らない品だが、それがどうかしたのか?」    どうかしたから、手に入りにくくなっているのだ。  お父様の返事に困惑し、額に手をあてた。  ――光の巫女が出現したら、なんとかなるって思っているからこうなるのよね。  光の巫女が出現すれば、信仰心の高い人々から、王宮横の神殿にお金が集まるけど、それはまだ遠い話だ。  だいたい光の巫女に頼りすぎて、王家が仕事をしなくなりつつある。  これは滅びゆく王家の姿にしか見えない。 「お父様。マーレア諸島から入るスパイスの量が少なく、必要な量が手に入っていません」 「言われなくてもわかっている! 入ってこないから、高値で困っているのだ!」
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