11 騙された国王

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「そうです。高値のせいで、人々の不満がたまっています。そして、価格はもっと高くなるでしょう」  レジェスが私の頭にぽんっと手を置いた。 「ルナリア。お前は俺が見込んだとおり、優秀で賢い。そこまでわかれば、たいしたものだ」  褒められて嬉しいけど、子供扱いはちょっとね……  頭をなでられて、むうっとしているとレジェスが気づいたらしく、『ああ、悪い』と小さな声で言って、手を離した。 「お父様。マーレア諸島のスパイスと茶葉は、アギラカリサ経由で手に入れてます。つまり、アギラカリサが値上げしているということです」  マーレア諸島が値上げしたという話はどこからも聞こえてこない。  なら、値上げしたのはアギラカリサである。 「そうだ。兄上がスパイスや茶葉の価格を上げている。そして、さらに値を上げるつもりだ」  お父様が息をのんだ。  オルテンシア王国はマーレア諸島と交流がなく、レジェスの兄たちを仲介し、手に入れていた。 「これ以上値上げすると!? ただでさえ、高騰しているというのに……!」 「だが、買わないわけにもいかないだろう? 値上げした分の利益はすべて兄上のものになる」 「そんなバカな! 騙されたのか!」  レジェスの兄たちに甘い言葉で騙されたことに、ようやくお父様は気づいたのだった――
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