1155人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうです。高値のせいで、人々の不満がたまっています。そして、価格はもっと高くなるでしょう」
レジェスが私の頭にぽんっと手を置いた。
「ルナリア。お前は俺が見込んだとおり、優秀で賢い。そこまでわかれば、たいしたものだ」
褒められて嬉しいけど、子供扱いはちょっとね……
頭をなでられて、むうっとしているとレジェスが気づいたらしく、『ああ、悪い』と小さな声で言って、手を離した。
「お父様。マーレア諸島のスパイスと茶葉は、アギラカリサ経由で手に入れてます。つまり、アギラカリサが値上げしているということです」
マーレア諸島が値上げしたという話はどこからも聞こえてこない。
なら、値上げしたのはアギラカリサである。
「そうだ。兄上がスパイスや茶葉の価格を上げている。そして、さらに値を上げるつもりだ」
お父様が息をのんだ。
オルテンシア王国はマーレア諸島と交流がなく、レジェスの兄たちを仲介し、手に入れていた。
「これ以上値上げすると!? ただでさえ、高騰しているというのに……!」
「だが、買わないわけにもいかないだろう? 値上げした分の利益はすべて兄上のものになる」
「そんなバカな! 騙されたのか!」
レジェスの兄たちに甘い言葉で騙されたことに、ようやくお父様は気づいたのだった――
最初のコメントを投稿しよう!