12 二番目じゃない私に

4/9
前へ
/314ページ
次へ
 新しい風も吹いたけど、今となっては逆風に……  お父様はズーンと沈んでいて涙目だ。 「兄上は利益を得るためならなんでもする。以前から、俺を通さず取引はしないほうがいいと忠告していたはずだ」 「申し訳ない……」  どうやら、レジェス様からも止められていたらしい。 「しかし、民は喜んでくれた……」  お父様が言うように、誰もが楽しめるスパイスと茶葉は当たり前のように使用され、あっという間に広がった。  レジェスの兄は広まるのを待っていた。  オルテンシア王国全土に行き渡り、生活に馴染んだ頃、一気に取引価格を上げたのだ。  需要を高めるだけ高めて、値上げしたため、儲けも大きかったことだろう。  そして、味をしめてさらに値を釣り上げる。  ――まるで時限爆弾みたいな罠。  倍の値段で取引し、値上げ分を利益にする。  レジェスの兄たちは、オルテンシア王国から搾取した利益で富を得て、王位継承戦を優位にするつもりだ。  与えられた領地を豊かにさせた王子が、次のアギラカリサ王になるから、どんな汚い手だって使ってくる。 「かわいそうなお父様! なんて卑怯なの!」
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1156人が本棚に入れています
本棚に追加