12 二番目じゃない私に

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「パーティーはどうでもいい。重要なのは、スパイスと茶葉を取引できるかどうかだ。セレステはマーレア語を話せるのか?」 「いいえ……」  セレステは気まずそうな顔で返事をした。  家庭教師をたくさんつけていたけれど、授業の時間は短く、マーレア諸島について学んでいない。 「ルナリアは五歳の頃から学んでいる。だから、ルナリアを連れていく。俺が言っていることがわかるな?」  レジェスはちらりとお父様を横目で見る。 「わ、わかっております! ルナリアを行かせましょう!」 「俺ができるのは紹介まで。交渉はそちらの仕事だ」  お父様は私に任せるというように目配せをする。    「お父様。アギラカリサへ向かうにあたって、お願いがあります」 「ふむ。なんだ?」 「十二歳の私が一人でアギラカリサへ行き、交渉をまとめるのは難しいと思います」 「そ、そうだろう! うむ、そうに決まってる!」  お父様は十二歳の私に負けたと思っていたらしく、私が『無理です』と言ったことが、すごく嬉しそうだった。
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