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「シモン先生です」
「そのシモンにな」
お父様に覚えてもらおうと、シモン先生の名前を繰り返した。
「よかろう! アギラカリサ王宮へルナリアをつかわせる!」
お父様の心は決まったようだ。
でも、なんだか恩着せがましい。
「レジェス殿下。ぜひ、マーレア諸島の人間をこちらに紹介していただきたい」
「ああ。いい結果になるよう願っている」
レジェスはうなずき、二人は握手する。
これで、私のアギラカリサ王国行きは決まった。
――オルテンシア王国以外に行けるなんて、思ってもなかったわ!
それも、アギラカリサ王宮へ行ける。
もしかすると、アギラカリサの巫女に、私の闇の力を封じてもらえるかもしれないのだ。
私が喜んでいると、セレステが近づいてきて、優しげな笑みを浮かべた。
「お姉様……?」
笑顔なのに目は笑っておらず、とても不気味に感じた。
「ルナリア。レジェス様に迷惑をかけないようにね」
「はい……」
あまり喜ぶ姿をセレステに見せると危険な気がして、後ずさった。
「えっと、お姉様……。アギラカリサへいってまいります」
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