12 二番目じゃない私に

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「ええ。なにがあるかわからないから、気をつけてね」  ――なにか仕掛けてくる?  深読みしすぎだろうか。  お父様とお母様にお辞儀をし、謁見の間から出る。  部屋を出る間際まで、お母様はずっと私をにらんでいた。  マーレア諸島との交渉が失敗すればいいと思っている。  セレステも、お母様も――応援されてないとわかったけれど、私はやるしかない。   「ルナリア。お前ならアギラカリサ行きを喜んでくれるかと思ったが、違っていたか?」 「レジェス様!」  一緒に謁見の間から出たレジェスは、私の体をひょいっと抱き上げた。 「自分の力を試せるのは嬉しいです。でも、私にうまくやれるかどうか……」 「ルナリア。いつまで二番目でいるつもりだ? 俺は十二歳で領地を与えられた。お前も自分の力を示せ」  ――私がわざと二番目にいたって思ってる?  レジェスの本心はわからない。  でも、もう二番目でいる必要はない。 「お前ならできるだろう?」 「はい。レジェス様」  私はレジェスに微笑むと、レジェスも同じように微笑んだ。  ――さようなら、二番目の私。  私はアギラカリサ王国へ行き、物語の強制力を越えて運命を変える。  そう決意した。
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