13 狙われた命

2/14
前へ
/314ページ
次へ
 私の旅の支度が終わると、レジェスはすぐに出発した。   ティアは『こんな急では新しいドレスも間に合いません! あんまりです!』と怒っていた。  ――ティアには悪いけど、ドレスどころじゃないわ。  交渉を成功させなかったら、王家への国民の不満は高まり、無駄に高いスパイスと紅茶を購入し続けるハメになる。  光の巫女に頼った財政事情は深刻だ。  国民からの王家への信頼の証が、神殿への寄進である。  セレステが光に巫女になるのは四年後の十七歳のこと。  私が十六歳の時。  つまり、まだ貧乏は続くということだ。  ――ここで私が成果をあげれば、お父様も話を聞いてくれるようになる。頑張らなくちゃ!  アギラカリサ王国行きのチャンスを作ってくれたレジェスに感謝である。  でも、レジェスは私を牢屋に放り込む予定だけどね…… 「うん? ルナリア。今、俺を見て難しい顔をしなかったか?」 「えっ!? き、気のせいです!」  レジェスは私を前にのせて、馬を歩かせている。  フリアンは白い馬だったけど、レジェスは黒毛の馬を好んでいるようだ。   「悩みがあるなら言ってみろ」  ――言えるわけない。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1175人が本棚に入れています
本棚に追加