13 狙われた命

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   四年後、私を牢屋に入れるのは、あなたなんですなんて。  レジェスは優秀で頼りになるし、信用できる。  手紙をやりとりするくらい仲良くしてもらえるなんて思っていなかったから、四年後を考えると胸が痛む。  このまま、嫌われずにいられたらいいのに…… 「アギラカリサに初めて行くので、少し緊張しているだけです」 「そうか?」  レジェスが婚約するのは、セレステに決まっていることを忘れてはいけない。  物語の中でも変えられるものと変えられないものがある。  私がレジェスにセレステと婚約してほしくないと思っていても、物語の強制力によって、二人はきっと婚約する。 「やっぱり元気がないな。腹が減ったか?」 「そんなことないです! 今日は天気が良くて気持ちがいいですね!」    勘のいいレジェスをかわすため、天気の話で慌てて誤魔化した。 「ルナリア様にとって、これが初めての旅ですから、緊張されるのもわかります。私も国外へ行くのは久しぶりですし、アギラカリサ王宮に入るのは初めてです」  シモン先生は長い銀髪を結び、旅装姿で馬に乗っている。  眩しそうに目を細め、青い空を見上げていた。
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