13 狙われた命

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 ――シモン先生が一緒に来てくれて本当によかった。  シモン先生の存在は、私の心の支えとなっている。  小説『二番目の姫』の物語に登場していないシモン先生がいてくれると、なんとなく安心するのだ。  でも、私のせいで、シモン先生は巻き込まれ、王位継承争いが勃発している危険なアギラカリサ王宮へ行くことになってしまった。   「シモン先生、ごめんなさい。私が勝手に名前を出してしまったせいで……」 「ルナリア様の判断は正しかったと思いますよ。あなたはしっかりしているように見えますが、まだ十二歳。もっと大人を頼ってください」 「シモン先生……」  一瞬、泣きそうになった。  シモン先生は急に決まったことなのに、すぐに旅の準備を整え、一緒についてきてくれた。  私からいきさつを聞いたのは出発した後だった。 「いいんですよ。私もずっと国の財政が気がかりでした。王を止められなかった無能な宰相に責任があります」  シモン先生は正直で、さらっと上司(宰相)を無能呼ばわりした。  文官たちはアギラカリサの思惑に早いうちから気づいていて、上司である宰相に進言していた。
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