13 狙われた命

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 でも、お父様がノリノリだったから、宰相は不興を買うのが嫌で止めなかった。  その結果がコレである。 「これがうまくいけば、オルテンシア王国とマーレア諸島の間に繋がりができる。レジェス殿下に感謝します」  有能な人間には優しいシモン先生は、レジェスには友好的だった。 「礼を言うのは早い。マーレア諸島の人間は扱いにくい」 「アギラカリサ王家ほどではないでしょう」  シモン先生の言葉に、レジェスが振り返った。  私を前に乗せているから、それほど早く馬は走れない。  馬車よりも少し早いくらいの速度だ。  けど、レジェスは私を馬に乗せて馬車を使わなかった。 「図書館の管理人だと聞いたが、他国に詳しいようだな?」 「いえいえ、そんな。それほどでもないですよ。それより、レジェス殿下は王位継承戦に勝つつもりでいるのですか?」 「負けるのは好きではない。ルナリアが俺よりお前を信頼してるのも気に入らない」 「えっ!?」  ――今のはどういう意味? もっと信頼されたいってこと? それとも私がレジェスを心から信頼してないって言いたかったの?  レジェスは言って前を向く。
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