13 狙われた命

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「レジェス殿下は若いですねぇ。ルナリア様と馬に乗る権利を譲ってさしあげたでしょう?」 「譲った?」  レジェスがさらにムッとした。 「ルナリア様のそばに、いつもいる私と違って、たまにしか会えませんしね」 「なれなれしくないか?」  ――あ、あれ? 今度は、なんだかギスギスしてる?    気が合いそうな二人だと思っていたけど、そうでもないようだ。 「ルナリア様より一つ上の妹を亡くしております。母親は違いますが、とても可愛らしく、優しい妹でした。だから、どうしてもルナリア様を他人とは思えないのです」  レジェスは理由を聞いて、しばし黙った。  シモン先生に私より一つ上の妹がいたなんて知らなかった。  笑っていたけれど、悲しげにうつむいたシモン先生の表情から、とても可愛がっていたのだろうとわかる。  ――社交的なセレステと違って、私には貴族令嬢のお友達がいないから、どんな子だったかわからないけど、シモン先生と似ているなら美人なはず。  そんな子と私が似てるだなんて、申し訳ないくらいだ。
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