13 狙われた命

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 でも、私もシモン先生は、お兄様みたいだと思っていたから、妹のように思ってくれているとわかり、とても嬉しい。 「そうか。だが、ルナリアと馬に乗るのは譲らないからな」 「ええ、どうぞ」  余裕たっぷりなシモン先生に、レジェスはやっぱり面白くなさそうだった。   「あのっ、レジェス様。マーレア諸島の商人はどんな人たちですか?」 「会えばわかる。お前はそのままでいい」  それは私への信頼だった。  私のそばにいるティアやシモン先生、レジェス、フリアン――優しい人たちばかりだ。  それなのに、私は小説『二番目の姫』の本当のストーリーを知っているから、いつ冷たく突き放されるのかと思って信じきれずにいる。 「ん? なんだ? 俺の顔になにかついてるか?」 「いえ……」  ――あとどれくらいみんなと一緒にいられるのかな。  いずれやってくる別れを考えてしまう。  もちろん、これはレジェスにだって相談できないし、シモン先生にも言えない。 「ルナリアは時々、十二歳とは思えない顔をする。俺が頼りないから、悩みを相談できないのか?」 「違います。これは、その……」   
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