13 狙われた命

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 あのまま、広い街道で戦ったほうがよかった気がする。 「全員、ここで待機しろ」  レジェスの後ろを走ってきた従者たちが追いつき、息を切らせていた。 「誰も欠けていないな?」 「はい。レジェス様。しかし、こちらを追っているはずです」 「かなりの数でした」 「わかっている。お前たちはここで待て」  全員が揃っていることを確認したレジェスは、私をシモン先生に預けた。 「ルナリアを頼む」 「あきらかにこの状況は不利でしょう。暗闇で戦うより、王都まで逃げたほうがよろしいのでは?」  シモン先生の提案は正しい。  それに、レジェス一人で暗殺者と戦えるとは思えなかった。 「俺は逃げない」  レジェスは負ける前提ではなく、全員、ここで倒すと宣言した。  シモン先生は険しい顔をしたけれど、レジェスと護衛たちは、まったく気にしてない。 「俺が負けると思うか? そう思うなら、目を開いて見ていろ」  レジェスは従者から弓を受け取り、矢の束をそばに置く。  弓を構え、追手が来るであろう方向に矢じりを向けた。
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