13 狙われた命

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 従者の声に気づき、暗い闇の中に見えたのは銀色の矢じりだった。  レジェスではなく、私に向いている。  ――物語はストーリーどおりに進めようとする。ストーリーとは違う行動をとったから、私を殺すの?  そう思った瞬間、声が聞こえた。 「レジェス、油断は禁物だよ」  暗殺者の体が倒れ、赤い血が剣につく。  その剣の持ち主は、金髪に青い目をした青年―― 「フリアン様!」  フリアンは身長が伸びたけれど、王子様みたいな容姿は変わらない。  「ルナリア、迎えにきたよ。僕と一緒に帰ろう? アギラカリサは危険すぎる」  騎士団の任務中だったはずのフリアンは、私のアギラカリサ王国行きを誰から聞いたのか、ここまで私を追って迎えにきたらしい。  物語を正しい姿に戻そうとする強制力が働いている気がした。  アギラカリサ王国へ私が行くのは、物語にとって不都合なようだ。   「私は戻りません。フリアン様もわかっているはずです。マーレア諸島との取引は、オルテンシア王国にとって絶対に必要です!」 「そうだけど、十二歳の君が行かなくてもいいと思うんだ。大人だけでじゅうぶんだよ」
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