13 狙われた命

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「私が言い出したことですから、シモン先生だけに押し付けるわけにはいきません」  私がかたくなに断ると、フリアンは困った顔をした。   「セレステ様が心配されている。ルナリアを連れ戻すよう頼まれたんだ」  ――セレステはなんとしてでも、私のアギラカリサ王国行きを阻止したいのね。    物語ではレジェスの婚約者になったセレステが、アギラカリサ王宮に招かれる。  そう考えると、私より先に入るはずのセレステが私より後になる。  二番目のはずの私が一番目になれば、物語が狂う。 「フリアン。悪いが、ルナリアはアギラカリサ王宮へ連れていく」 「レジェス……。相変わらず、無茶ばかりするね」 「俺を止められるか?」 「無理だろうね」  あっさりフリアンは諦めた。  昔から、レジェスに振り回されてきたフリアンは、一度言い出したら聞かないレジェスの性格を誰よりも知っている。 「心配ならお前もついてこい」 「アギラカリサ王宮に僕が入れるかな」 「ルナリアの護衛騎士とでも名乗ればいい。ちょうど王女にしては同行者が少ないと思っていたところだ」
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