14 レジェスの婚約者

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「どうだ? 俺の配下にならないか? 大金で雇ってやるぞ」  フリアンは名前を知られていた。  三人はレジェスの剣の腕に敵わないらしく、フリアンを雇えばなんとかなると思っているようだ。  ――なんて失礼なの。  小国とはいえ、公爵の子息であるフリアンに対して、大金を払うから雇ってやるなんて、上から目線にもほどがある。  本当にレジェスの兄なのか疑いたくなるわ。 「ありがたい申し出ですが、オルテンシア王家に忠誠を誓う身。そして、僕はレジェスの友人です」  さわやかな微笑みに空気がやわらいだ。   ――これがフリアンの力!  さわやか全開、王子より王子な設定。  フリアン、さすがすぎるわ。  ギスギスで血なまぐさい王子たちを浄化するなんて、フリアンにしかできないことだ。  そんなフリアンは、アギラカリサ王宮の女性たちの視線を釘付けにした。 「あれはどなた?」 「オルテンシア王国公爵家のご子息ですって」 「まあ! なんて美しい方かしら」  アギラカリサ王宮は連日、パーティー三昧だと聞いていたけど、それは本当らしい。
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