14 レジェスの婚約者

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 着飾ったドレスの貴婦人、令嬢が王宮の前に集まり、中へ入っていく。   「まあっ! レジェス様だわ!」 「ご立派になられたこと」 「今日のパーティーにご出席されるのかしら?」  通りすぎる貴婦人や令嬢たちは、レジェスに熱い視線を送る。  注目を集めるレジェスを面白く思ってないのが、他の王子たちだ。 「ふん。父上に王宮の出入りを許可されている身分でありながら、卑しい奴らめ」 「小汚ない格好をしたレジェスのどこがいいんだ」 「腹黒いレジェスに騙されているんだろう」  言いたい放題だった。  レジェスは知らん顔していたけれど、私は違う。  我慢の限界である。 「レジェス様は優しくて信頼できる立派な方です」  私のほうに視線が向く。  顔をあげ、視線を外さず挨拶をした。 「オルテンシア王国の第二王女ルナリアと申します。お見知りおきください」  私にも暴言を吐くだろうと思っていたけど、予想に反して三人は考え込んでいた。  ――あ、あら? おかしいわね。ここで『俺たちに戦線布告か! いい度胸だ!』って言ってくるだろうって思っていたのに言わないの?  肩透かしをくらった気分だ。
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