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三人はお互いの顔を見、首をかしげたり、天を仰いだりしている。
いわゆる『反応に困る』という空気。
「おい、レジェス。お前、頭は大丈夫か? 本気でどうかしているぞ」
「王になる気がないのか?」
「次にアギラカリサ王宮に顔を出す時は、婚約者となる者を連れてこいと、父上に言われていたはずだ」
――こっ、婚約者~!?
そんなこと聞いてない。
レジェスを振り仰ぐ。
フリアンとシモン先生も同様にレジェスを見ていた。
レジェスは胸の前に腕を組み、にやりと笑った。
「言ってたな」
「レジェス様。婚約者って……」
私がレジェスの婚約者なんて聞いてない。
王宮に入るための嘘だとしても、無理がある。
――だって私は十二歳! こんな嘘、苦しすぎるっ!
「俺の婚約者としてルナリアを父上に紹介する」
誰もが『そんなバレバレの嘘をついていいのか?』という顔をしていた。
私もそう思う。
レジェスの服をつかみ、懸命に背伸びする。
私のほうへ屈んでくれたので、ようやく耳に届いた。
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