14 レジェスの婚約者

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   三人は口々にレジェスを悪く言ったけど、アギラカリサ王はそれを笑い飛ばした。 「ふん、レジェスのことだ。なにか思惑があってやっているのだろう。お前たちは騒ぎすぎだ」    レジェスを信頼する父親に不満を持っているのは一目瞭然。  三人はレジェスをにらんだ。  にらみつける目をものともせず、レジェスは言った。 「父上。オルテンシア王国の一行を王宮に入れてもかまいませんか?」 「かまわん。お前の婚約者だろう?」 「はい」 「なにをするつもりか知らんが、お前は退屈させないからな。レジェスとオルテンシア王国の一行に部屋を用意してやれ」  王の命令を聞くため、控えていた侍女たちがいっせいに動きだし、にわかに慌ただしくなった。 「国王陛下。滞在を許可していただきありがとうございます」  私がお礼を言うと、アギラカリサ王と目があった。 「我が国は王位継承戦のさなか。滞在は許可したが、命を落とさぬよう気をつけよ」 「はい」  国王陛下は経験上、王位継承戦がどんなものであるかわかっている。  自分もまた戦いを勝ち抜いて王になったからだ。
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