14 レジェスの婚約者

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 だから、レジェスが兄に命を狙われていると知っている。  そして、その婚約者として連れてきた私も危険だとわかっているのだ。  でも、わかっていても、どうすることもできない。  これは、アギラカリサの次代の王を選ぶ戦いなのだから、王は介入できないルールだ。 「ルナリア。部屋は王宮の奥だ。行くぞ」    レジェスが手を差し出し、なにも考えずに手をとった。  視線を感じて、隣を見るとフリアンが怖い顔をしていた。  ――フリアン? 怖い顔をして怒るなんて珍しいわね。 「レジェス。オルテンシア王国側に相談なく、ルナリアとの婚約を決めるのはよくないよ。たとえ、フリだとしてもね」 「反対されると面倒だ。だから、俺は言わなかった。だが、他に方法があったか?」  オルテンシア王国から突然やってきて、『王宮のパーティーに参加させてください』なんて、無理に決まっている。  嘘だとしても、レジェスの婚約者という肩書きをつければ、扱いがまったく違う。 「それは……」  「ないだろう?」  フリアンは言い返せなかった。  レジェスは王宮の奥を目指して歩き出す。  後ろを歩くシモン先生がレジェスに言った。
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