14 レジェスの婚約者

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「婚約者に仕立てるのは構いませんが、ルナリア様の安全だけは責任をもって、守っていただかねばなりません。約束できますか?」 「当然だ。俺の命にかえても守ろう」 「それならば、けっこうです」  シモン先生は納得してくれたようだ。 「レジェス様。こちらのお部屋でございます。王より自由に使えと仰せです」  王宮の侍女が待っていて、レジェスに言った。  お部屋というより、王宮の一角まるごとである。    ――う、うわぁ、大きな王宮よね。オルテンシア王国と規模が違いすぎるわ。  きらびやかで少し異国風なアギラカリサ。  外国にきたというかんじがする。  案内されてすぐに、レジェスの護衛が数人、周辺に散らばった。  暗殺者や危険なものがないか確認しているようだ。 「こちらがレジェス様とルナリア様のお部屋でございます」 「えっ? 同じ部屋!?」 「婚約者だと聞いております」  侍女が粛々とした態度で答えた。 「父上なりの配慮だ」 「配慮!?」 「俺がルナリアを守れるように、同じ部屋にしたんだろう」  ――あ、そういう意味で同じ部屋なのね。  自分が十二歳であることを思い出した。
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