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「ダメです」
それは天の声――というか、レジェスとフリアンを止めたのはティアだった。
それも、二人を黙らせるくらいの圧である。
「おい、にらむな。ルナリアを守るためだと言っただろう?」
鉄壁の守り、絶対の保護者、私の母親的な存在であるティアは譲らなかった。
「ルナリア様は幼くてもレディです! 変な噂でも立てば、一生独身! それだけは阻止させていただきますわ!」
さっきまでティアはいなかった。
馬車組だったティアと侍女たちは、私たちより遅れて着いた。
準備があったのもあるけど、オルテンシア王国の王女一行にしては貧相で、下手したら大商人のほうが華やかな隊列である。
護衛もいたけど、申し訳程度。
もし、一緒に移動していたら、ひとたまりもなかっただろう。
今ならわかる。
レジェスは暗殺者から襲われるとわかっていて、ティアたちの出発をわざとずらしたのだ。
同行者を一人も欠くことなく守るために――
「ティア。レジェス様は私を守るために言ってるのよ。別におかしな意味はないわ」
それに、レジェスはモテモテだし、女性に不自由していない。
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