2 優しい幼馴染み

3/8
前へ
/314ページ
次へ
「ありがとう……ございます」 「本当にどうしたんだい? いつもなら、もっと無邪気に抱きついてくるのに」  フリアンは私を抱き上げ、顔を覗き込んだ。  ――うっ! イケメンが放つキラキラが眩しい! 『公爵家の一人息子フリアンは王子様のような容姿で、令嬢たちの憧れだ』なんて書かれてあったけど、本当にそう。  そのモテモテぶりに、ルナリアは嫉妬の嵐を見せる。  令嬢たちに嫌がらせをし、フリアンには『本当に好きなのはお姉様なんでしょ? 違うなら、私を好きだと言って!』と要求。  悲しいくらいルナリアは愛情を求め、そして、捨てられる。  そんなストーリーを思い出し、シクシク泣いてしまった。 「えっ? ルナリア!? どこか痛いのかな?」  フリアンはハンカチを取り出し、私の涙をぬぐう。   私は赤ちゃんじゃないのに、七つ上のフリアンは、いつも面倒を見てくれる優しいお兄さんだ……今は。 「ほら、泣くな。ルナリアの大好きな砂糖菓子だぞ」  レジェスは花の形をした砂糖菓子を私の口に放り込んだ。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

976人が本棚に入れています
本棚に追加