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「ありがとう……ございます」
「本当にどうしたんだい? いつもなら、もっと無邪気に抱きついてくるのに」
フリアンは私を抱き上げ、顔を覗き込んだ。
――うっ! イケメンが放つキラキラが眩しい!
『公爵家の一人息子フリアンは王子様のような容姿で、令嬢たちの憧れだ』なんて書かれてあったけど、本当にそう。
そのモテモテぶりに、ルナリアは嫉妬の嵐を見せる。
令嬢たちに嫌がらせをし、フリアンには『本当に好きなのはお姉様なんでしょ? 違うなら、私を好きだと言って!』と要求。
悲しいくらいルナリアは愛情を求め、そして、捨てられる。
そんなストーリーを思い出し、シクシク泣いてしまった。
「えっ? ルナリア!? どこか痛いのかな?」
フリアンはハンカチを取り出し、私の涙をぬぐう。
私は赤ちゃんじゃないのに、七つ上のフリアンは、いつも面倒を見てくれる優しいお兄さんだ……今は。
「ほら、泣くな。ルナリアの大好きな砂糖菓子だぞ」
レジェスは花の形をした砂糖菓子を私の口に放り込んだ。
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