15 これはまさかの牢屋行き?

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『マーレア諸島の公用語でないクア族の言葉がわかるのか』 『クア族だけではありませんわ。マーレア諸島すべての部族の言語を理解しております』  マーレア諸島は多言語国家である。  公用語は四言語と決められているけれど、実際はもっとある。   『アギラカリサの者か?』 『いいえ。私はオルテンシア王国の第二王女ルナリアと申します。あなたはマーレア諸島クア族の方ですね?』 『俺はクア族族長の息子ルオンだ。なるほど。王女か。普通の子供ではないと思った』  私は寝間着姿だったけれど、淑女らしく挨拶を返す。 『はじめまして、ルオン様。お会いできて光栄です。それで、こちらでいったいなにを……』 『会いたい人がいる』  私と同じ理由ではないだろうけど、ルオン様は誰かに会うためにここにいたらしい  でも、私が子供だからか、理由をすんなり教えてくれた。 『俺がここにいたことは、他言は無用で頼む。アギラカリサは人の弱みにつけこむのがうまい。なにを要求してくるかわからん』 『否定はしません』  こちらも弱みにつけこまれ、困っているところだ。  
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