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王宮の奥でルオンが見つかれば、罰せられるかもしれない。
こちらが気配に気づいているということは、向こうもすでに気づいていると思っていい。
『ルオン様。私がなんとかします。逃げてください』
『……悪い。恩に着る』
ルオンは暗闇に紛れ姿を隠して去っていった。
そして、私の前に現れたのは――
「ルナリア。どこへ行くつもりだ?」
怖い顔をしたレジェスだった。
「レジェス様……」
王宮の奥を目指していたことはあきらかで、兵士たちをやりすごし、隠れていたのもバレている。
「そこから先に行けば、罰を受ける。俺であってもな。わかっているのか?」
――すごく怒ってる。
アギラカリサの巫女は異民族の力を封じる大事な役目を持つ。
異民族から恨みを買い、巫女は命を狙われているため、近づくことは許されない。
許可なく立ち入れば、王子であるレジェスであっても重罪である。
「ごめんなさい……。巫女に会いたかったんです」
レジェスに嘘をついてもわかってしまう。
それなら、いっそ正直に言ったほうがいいと思った。
けれど、今の私は小説『二番目の姫』のストーリーと同じように、牢屋へ放り込まれてもおかしくない状況だった。
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