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三人の兄たちに囲まれ、十二歳で領地を与えられたレジェス。
レジェスもまた生き延びるために必死だったのだ。
私以上に厳しい境遇にいながら、欠かさず手紙が届き、オルテンシア王国へ訪ねてきてくれた。
――あれは全部、私が悩んでいると気づいたレジェスが、私のためにしてくれていたことだったんだわ。
ぎゅっとレジェスに抱きついた。
レジェスは私の背中を優しく叩く。
「ルナリア。大丈夫だ。お前は死なない。俺が保証する」
私に言いながら、きっとレジェスは自分自身に言い聞かせている。
一緒に生き延びようと。
「ありがとうございま……」
顔を上げ、お礼を言いかけた時、レジェスの背後を狙う矢が見えた。
それもひとつではない。
複数の人間がいる。
「レジェス様! 誰かがレジェス様を狙ってます!」
向こうに灯りはなくとも、こちらには庭を照らす灯りがたくさんある。
廊下には燭台の火が煌々としているのが見えた。
――庭から廊下へ逃げても矢の的になるわ!
私たちの姿は向こうから、はっきり見える。
森の時と違って、レジェスの武器は剣だけで護衛もいない。
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