16 いつか言えたら

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 三人の兄たちに囲まれ、十二歳で領地を与えられたレジェス。  レジェスもまた生き延びるために必死だったのだ。  私以上に厳しい境遇にいながら、欠かさず手紙が届き、オルテンシア王国へ訪ねてきてくれた。  ――あれは全部、私が悩んでいると気づいたレジェスが、私のためにしてくれていたことだったんだわ。  ぎゅっとレジェスに抱きついた。  レジェスは私の背中を優しく叩く。 「ルナリア。大丈夫だ。お前は死なない。俺が保証する」  私に言いながら、きっとレジェスは自分自身に言い聞かせている。  一緒に生き延びようと。 「ありがとうございま……」  顔を上げ、お礼を言いかけた時、レジェスの背後を狙う矢が見えた。  それもひとつではない。  複数の人間がいる。 「レジェス様! 誰かがレジェス様を狙ってます!」  向こうに灯りはなくとも、こちらには庭を照らす灯りがたくさんある。  廊下には燭台の火が煌々としているのが見えた。  ――庭から廊下へ逃げても矢の的になるわ!  私たちの姿は向こうから、はっきり見える。  森の時と違って、レジェスの武器は剣だけで護衛もいない。
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