16 いつか言えたら

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 ――私が勝手に部屋を出たせいで! 「ルナリア。俺の体の下に隠れろ。絶対に動くな」  レジェスは私に覆い被さり、そばの木を盾にする。  雨のように矢が降り注ぎ、地面と木に突き刺さった。  廊下から庭園に向かって走ってきたのは暗殺者たち。  このままだと、じきに囲まれてしまう。  ――もしかして、私が運命を変えてしまった?   私がいなかったら、レジェスはここへやってこなかった。  自分の心臓の音がうるさい。  このままでは、私のせいでレジェスが死んでしまう! 「ルナリア。俺が合図したら、お前だけ逃げろ。そして、部屋に戻りフリアンに守ってもらえ」 「レジェス様はどうするんですか!?」 「心配するな。弓矢は厄介だが、暗闇に暗殺者たちを誘いだして倒す」 「暗闇に?」  レジェスの紫色の瞳を見た。  こんな時なのに、レジェスは笑っている。 「ルナリアに俺の秘密を教えてやろう」  窮地であっても、不敵な笑みを浮かべるレジェスは王様のように見えた。 「俺の目は暗闇でも見える」 「えっ!?」 「俺には夜の女神の加護がある」  レジェスが追手を暗い森に誘き寄せた理由がわかった。
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