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――私が勝手に部屋を出たせいで!
「ルナリア。俺の体の下に隠れろ。絶対に動くな」
レジェスは私に覆い被さり、そばの木を盾にする。
雨のように矢が降り注ぎ、地面と木に突き刺さった。
廊下から庭園に向かって走ってきたのは暗殺者たち。
このままだと、じきに囲まれてしまう。
――もしかして、私が運命を変えてしまった?
私がいなかったら、レジェスはここへやってこなかった。
自分の心臓の音がうるさい。
このままでは、私のせいでレジェスが死んでしまう!
「ルナリア。俺が合図したら、お前だけ逃げろ。そして、部屋に戻りフリアンに守ってもらえ」
「レジェス様はどうするんですか!?」
「心配するな。弓矢は厄介だが、暗闇に暗殺者たちを誘いだして倒す」
「暗闇に?」
レジェスの紫色の瞳を見た。
こんな時なのに、レジェスは笑っている。
「ルナリアに俺の秘密を教えてやろう」
窮地であっても、不敵な笑みを浮かべるレジェスは王様のように見えた。
「俺の目は暗闇でも見える」
「えっ!?」
「俺には夜の女神の加護がある」
レジェスが追手を暗い森に誘き寄せた理由がわかった。
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