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あの時のレジェスは暗殺者たちを的確に射貫き、少しの迷いもなかったのを思い出す。
それに、レジェスの従者たちは慌てていなかった。
絶対に負けないとわかるから、誰も手を出さなかったのだ。
――王。
レジェスこそが、本物の王だ。
「秘密だぞ。これは俺が信頼できる者しか知らない俺の切り札だ」
「はい」
レジェスにとって、私は信頼できる人間だと言われたのと同じ。
力強くうなずくと、レジェスは笑った。
「ルナリア。わかったなら、安心してフリアンの元へ行け!」
レジェスが剣を抜き、飛び出した。
敵が弓を構えた。
――わかったけど、私はレジェスを助けたい!
私の剣の腕は、普通の子供程度で役に立たないけど、知恵だけは大人と変わらない。
――私にできることを!
地面に落ちていた石を手にすると、その石でランプを破壊する。
「ルナリア!? 逃げろと……」
大きな音をたて、ランプのガラスが割れて中の火が消える。
敵はレジェスの剣に押されていて、いつでも殺せる私は後回しでいいと判断したのか、無視された。
ターゲットはあくまでレジェス。
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