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私はその隙に小さな体を生かして、すばしっこく木々と草の隙間に滑り込み、ランプを破壊していく。
気づけば、庭は暗闇となり。闇はレジェスの姿を隠した。
「ルナリア、よくやった!」
闇の中でも視力を失わないレジェス。
剣が閃き、暗殺者たちが次々と倒され。あっという間に形勢は逆転した。
――強い。レジェスは夜の女神だけじゃなく、戦いの神にも愛されていると思う。
絶対的な強さと圧倒的な力の差で、敵をものともしない。
「レジェス様! 増援が!」
「どうやら、兄上たちは本気で俺を殺すつもりらしいな」
敵の数は増えるいっぽうで減る様子がない。
レジェスの三人の兄たちは焦っている。
王になるのがレジェスだと思っている証拠だ。
私になにかできたらいいのに、逃げて隠れるしかない自分がもどかしい。
――そうだわ。フリアンを呼べばなんとかなる!
レジェスと同等の剣の腕を持つフリアンなら、レジェスを助けられる。
そう思って、草の茂みから顔を出すと、そこには人がいた。
「ルナリア。悪い子だね」
「フリアン様!」
「僕たちが眠るのを待って抜け出すなんてよくないよ」
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