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レジェスも一緒に部屋に戻るのだろうと思ったら、私たちを眺めてなにも言わず、黙って剣を鞘に戻した。
「あの……。レジェス様も一緒に部屋へ戻りましょう?」
私が声をかけると、レジェスは少しだけ微笑んだ。
「俺は血を落としてから戻る。さすがにこの格好で明るい場所には戻れない」
返り血に濡れた顔と手、服は暗闇ではわかりづらいけれど、明るいところで見ると、凄まじい姿だと思う。
「お前が血で汚れる。フリアンと先に戻っていろ」
フリアンに手を引かれ、その場を後にした。
部屋までの道は、すごく遠く感じた。
フリアンがずっと無言で、怒っているのがわかったからだ。
「フリアン様……。私にすごく怒ってますか?」
「ルナリアじゃなくて僕自身に怒ってる。レジェスが迎えに行くのを止めずに、一人で行かせたことを後悔してた」
責任感が強くてまじめなフリアンは不安なのか、私の手を強く握った。
なにかあれば、責められるのはフリアンだ。
「私、もっと強くなって心配かけないようにします」
「どれだけ強くなっても心配だよ。ルナリアは僕の大事な……」
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